【JTマーヴェラス】 大事なのは選手が感じて苦しんで技術をつかむ過程

9/24に北海道新聞を読んでいたら、特集のコーナーにて、JTマーヴェラス・吉原知子監督のインタビューが載っていたので、ちと遅れてしまいましたが紹介します。
経済部・宇野一征(以下宇野):監督就任わずか1年で下部リーグから昇格し、5月の黒鷲旗全日本男女選抜大会でも優勝。正直、驚きました。
吉原:負けが続くと、人って自信を失うものですよね。下部リーグに落ちた選手たちも同じ。だから、まずは選手に自信を持たせることを意識しました。練習で良かったプレーについては「いまのは良かった」「あなたたちはできるんだよ」と褒め、自信の裏付けをしていくことを心掛けました。
宇野:悪かったプレーについても指摘したのですか。
吉原:もちろん。厳しく指摘することもありますよ。ブロックで失敗した選手には「跳ぶタイミングが遅いから、ボールを止められないんだよ」と、きちんと指導します。もともと良いことと悪いことをはっきり言うタイプでもあるので。
宇野:会社の上司と部下の関係のように、注意された相手が自信をなくしたりすることもあるのでは。
吉原:すべては相手の受け止め方次第じゃないでしょうか。私は選手たちに「同じチームの人を下手にしようとはだれも思っていないから」「ポジティブに受け取ることが大事だよ」とたびたび言うようにしています。選手たちは分かってくれている・・・と勝手に思っていますけどね。
宇野:チームスポーツで勝ち続けるには、組織力も重要です。何か特別な対策を講じたのですか。
吉原:確かにバレーボールはチームプレーのスポーツですが、まず徹底的に選手個々のレベルアップを図り、それぞれに与えられた責任をきちんと分かってもらうことが大事だと思います。そうして初めてチームが一つにまとまるものではないでしょうか。
宇野:でも、それぞれ能力にも経験にも差があり、同じようにレベルアップできるとは限らないのでは。
吉原:何も全員が同じようなスキルを持つように育てる必要はないと思います。バレーボールで言えば、スパイクが弱くてもレシーブに強かったり、サーブを打たせたら必ず得点したりするなど、他人に負けない特別な技能を、アピールポイントとして磨いてもいい。
宇野:監督がそうした選手の長所を見つけ、育てたのですね。
吉原:いいえ。私は選手たちが自分で感じて、もがいて、苦しんで技術などをつかみ取る過程を大事にしたいんです。例えば「こうしたら痛い目にあうからね」と教えても、痛みの程度がどのくらいなのか、教えられた本人は分かりませんよね。教えた方がいい部分と、そうでない部分を考えずにすべて答えを言ってしまうようでは、選手は育たないし、リーグでもトップに立たないと思います。
宇野:監督の指導の下、選手同士の意識に変化はあったと思いますか。
吉原:ようやく闘うチームになってきたかなと実感しています。監督に就任した当初はミスをしても「いいよ、いいよ」と励まし合ったりしていました。選手たちには「仲良しこよしのチームはいらない」と何度も言いました。リズムのスポーツとも言われるバレーボールで流れを変えてしまうミスなど、ドンマイでは済まされない局面も多いんです。妥協を許してはいけないところは、いちいち監督やコーチが指摘するのではなく、自分たちで引き締めていかなければならない。最近はレシーブ一つとっても、取れそうなボールを見逃せば「いまのは見逃しちゃだめだよ!」と言い合うようになりました。そこに年齢や経験の差は関係ありません。
宇野:会社で言えば、部下が上司に物申すような話です。かえってチームの和が乱れることもあるのでは。
吉原:コートの中では、若手もベテランも責任の重さは同じです。現に弱いところは集中的に狙われますから。仲良しこよしのチームは、いざという時に崩れやすいんですよ。勝つためには、お互いに言い合える環境づくりは絶対に必要だと思います。ただし、どんなにけんかしようと、コートから一歩外に出ればすべてリセット。何もなかったことにしようと、就任直後から言っています。
宇野:対選手だけではなく、コーチ陣やスタッフとも同様の関係を築いているのですか。
吉原:自分のやる事がすべて正しいと思ったことはないし、監督に物申せないコーチやスタッフなんていりません。いつも私の指導や考え方についてどう思っているか、必ず感想を聞くようにしています。その代わり、選手ともスタッフともコミュニケーションをできる限り頻繁に取るようにしていますよ。
宇野:コミュニケーションとは。サラリーマン社会のように、一緒に飲みに行ったりするのですか。
吉原:いろいろですね。選手がマッサージしているところに顔を出すこともあれば、練習後に個人的に呼び出して話をすることもあります。自身の第一印象が「しゃべりにくそう」と思われがちなこともあり、あえて自分から相手に接していこうと心掛けています。
宇野:現役時代はイタリアのチームでも活躍していました。組織運営の面で学ぶべき点は。
吉原:全員が自分の意見を持ち、はっきりと口にできる土壌ができている点ではないでしょうか。例えば、何か質問をされた時に「前に答えた人と同じです」という回答は、無責任と見なされます。スポーツの世界において特に言えることですが、自分を前に出す部分がないと試合には勝てないと思います。
宇野:日本人は積極性に欠けますか。
吉原:女性ならそれが奥ゆかしさとも言えますが、自分が絶対に譲れないと考えている部分については、引くべきではないと思います。特に私のような指揮官の場合、考えが毎回ぶれていたらスタッフも選手も困ってしまうでしょう。譲る部分はたくさんあっても良いけど、絶対にぶれない部分を持つことがリーダーには欠かせません。
宇野:今後、どんなチームづくりをめざしますか。
吉原:もちろんプレミアリーグのトップに君臨し続けるチームにしたい。勝ち続けるには、精神面も技術の面もまだまだ。でも、私は選手たちの可能性を心の底から信じています。実際、練習などで「信じているからね」って言い続けていますから。
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