【スーパーリーグ】 新リーグはいいが如何なる形で選手を確保出来るか
Vリーグ開幕まで、あと1ヶ月をきりました。
そんな中、日本バレーボール機構は20日、嶋岡健治会長の再任と共に、2018/19シーズンから開幕する新リーグ創設の構想を発表しました。新リーグ「スーパーリーグ」は、今年11月末までに6チーム以上の参加があれば、開幕に向けて準備を進めます。現行のプレミアリーグ、チャレンジリーグとは併存します。
スーパーリーグの参加チームは独立した運営母体を持つことが資格となります。選手の契約形態は当面は自由です。ただし、監督はプロ契約であることが求められ、各チームは下部のユースチームを持つことも条件となります。外国人枠は従来の1に加えて、アジア連盟に属する枠を1増やします。
嶋岡会長は「企業が主体となる部活のようなあり方から脱却する。地元に根ざしたチームの方が、選手のやりがいがある」と語りました。チーム名には企業名を入れてもよいが、地域名は必ず入れなければならない。試合はホーム&アウェイを基本とし、その収益はホームチームに入る。チームの数が多くなれば東西カンファレンス制をとって遠征費を抑えます。
今、なぜ新リーグ構想なのか。「テレビ放送拡大の限界、体育館確保の競合激化と大会開催の困難化、歯止めのかからない競技者数の減少などにより、Vリーグは危機的状況にある。バレーボールの魅力を再構築し、現在の閉塞状態をブレークスルーするには今が最後の機会だ」とVリーグ関係者は語っています。
「体育館の確保などから、来年の秋から始めるということは不可能。そして、東京五輪の前年は、五輪のためにリーグがイレギュラーな形になることが予想される。でも東京五輪以降では遅すぎる。だから今、そして18年秋からしかないのです。」
新リーグはバレーボールを事業主体とする独立した運営母体が必須となりますが、企業名を入れることも、選手が社員のままでいることも可能です。「摩擦を避けるため、できるだけフレキシブルな対応にした。」
なぜ独立した運営母体にこだわるのか。これはこの秋から開幕したバスケットボールのBリーグが、ホームゲームの8割を地元開催することを条件付けているため、体育館の確保の面で考慮したといいます。Bリーグのチームが自前のホームアリーナを持つなら別ですが、基本的には各自治体などの体育館を借りることになります。秋から春と、Vリーグと興行シーズンが重なり、観客も体育館も競合する事になる。自治体が体育館を貸す時に、一企業に貸すか、地域スポーツクラブに貸すか、どちらを優先するか考えたそうです。
アジア枠を増やしたのは試合の質を上げる事に加えて、マーケティングの意味合いもあります。アジアの選手を入れれば、日本以外の国でも試合を試聴して貰えるだろう、スポンサーにもアピールが出来る、というわけです。
これに対する反応は様々です。例えば、豊田合成の高松卓矢選手は、「変化を求めるのは良いことだと思う。良くないのは何も変わらないこと。ただ、いたずらに変化を求めるだけでなく、そこにしっかりとしたコンセプトがあれば、必ず良い方向に向かうはず」とツイート。また、ビーチバレーの島田桃大選手は熱を込めて「(この改革は)遅いくらいですよ」とコメント。
その反面、Vリーグのある選手は、「プロ化を強制されるようになったら、その前に引退して社業をやります。プロ野球やJリーグでも引退後どうするかは結構問題になっていますよね。今でも一部の強豪校で有望な選手がVリーグ選手になる進路を選ばないで一般就職をすることがありますが、この新リーグが始まったら、そういう選手がもっと増えると思う」と危惧を述べ、また「あまりに急すぎる。また、チーム側のメリットが見えない」と懸念を露にする者もいます。
また、男子でも女子でも、チームの年間維持費は2億程度ですが、これはプレミアレベルのチームの場合。これがチャレンジリーグレベルになると、年間数千万程度での自転車操業を余儀なく行っているチームが多い、という現実があります。一応、外人枠は正規の外人枠の他にもアジア枠に限ってもう1名増やせる格好となっていますが、外人に金を使うのが勿体無いから、と中には外人スカウトさえ行わないチームも多々出るはずです。
その結果、チャレンジチームの場合、スーパーリーグには参加せずチャレンジリーグに残留するケースも生じてくる可能性が無きにしも非ずです。
このケースで一番心配しなければならないのは、「スーパーリーグでプレー出来ないならカタギの仕事でもしよう」とチャレンジリーグには目を向けず、その結果、余暇戦力を受け入れるチームが目減りしかねない、という点です。目先の戦力確保はいいのですが、周辺の余暇戦力を受け入れてくれるチームがいなければ、せっかくの構想が水泡と化してしまいます。
元々、この新リーグ構想は、当初は「プロジェクトM」として出発したものです。ちなみに「M」は故・松平康隆名誉会長の事で、この松平名誉会長が成しえなかった夢が「プロ化」。1994年に、山田重雄氏と共にプロ化構想をぶち上げましたが、企業の賛同が得られず、結局2年で頓挫してしまった経緯がありました。
東レ男子部に7年在籍したデヤン・ボヨビッチ氏は、「全日本の強化のためにベストなのはプロ化だが、今の日本のシステムは、選手のセカンドキャリアなどを考えた場合、素晴らしいものだと思う。プロリーグのよいところと現在のシステムをうまくミックスできたら」と、過去に提言した経緯がありました。
構想を暖め直すのは、来年でも別に構わないでしょうけど・・・一つでも多くのチームに参加してもらいたいなら、まずは選手のセカンドキャリアを、よく考えた上で決めても、決して遅くはないのではないでしょうか。
記事を読まれたら、下のバナーにブログ応援クリックお願いしますm(_ _)m
お金は一切かかりません。


- 関連記事
-
- 【岡山シーガルズ】 海外マーケットに視野を入れる可能性もあるのではないか (2016/09/29)
- 【スーパーリーグ】 新リーグはいいが如何なる形で選手を確保出来るか (2016/09/28)
- 【JTマーヴェラス】 大事なのは選手が感じて苦しんで技術をつかむ過程 (2016/09/26)